第29回(2020年度)

紅型デザインコンテスト

りゅうぎん紅型デザインコンテスト

沖縄県の伝統工芸の一つである紅型の振興と若手工芸家の育成ならびに紅型デザインの新しい領域を追求していくことを目的に、「りゅうぎん紅型デザインコンテスト」を毎年開催しています。応募作品は展示会で発表するとともに、入賞作品については当行のカレンダーや通帳、広報物などに広く活用しています。

※りゅうぎん紅型デザイン公募展は、第17回(平成20年)より、りゅうぎん紅型デザインコンテストに名称を変更しています。

※画像をクリックすると拡大表示します。

一般枠

大賞
「悠久の海」
山城 美枝

技術賞
「開ける心」
津山 奏

デザイン賞
「ヒヤミカチ」
吉濱 愛

奨励賞
「楽園~沖縄の宝~」
島尻 稚菜


奨励賞
「記憶の海がゆれる」
竹内 まみ

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悠久の海
【1024×768】【1280×800】
開ける心
【1024×768】【1280×800】
ヒヤミカチ
【1024×768】【1280×800】
楽園~沖縄の宝~
【1024×768】【1280×800】
記憶の海がゆれる
【1024×768】【1280×800】
 

未来枠

優秀賞

Blue twins(ブルー ツインズ)
具志堅 音子

優良賞

「台風前夜」
下地 理央

審査員特別賞

「ブーゲンビリアの空」
亀谷 ニ虹

壁紙ダウンロード
Blue twins
【1024×768】
【1280×800】
台風前夜
【1024×768】
【1280×800】
ブーゲンビリアの空
【1024×768】
【1280×800】

審査総評

「海」主題のデザイン豊富 宮城篤正(県立芸術大学名誉教授)

 去年は平成から令和に改元され人々は明るい未来に大きな夢を描いた。しかし今年2020年は突如として発生した新型コロナウイルスがあっと言う間に世界中の国々に感染し、大混乱に陥れて未だにその終息が見通せない。今回の応募作品は一般枠と未来枠で明暗が二分された。前者では充実した制作が出来たのに対し、後者では学校の休校等で制作場所や十分な時間が確保出来なかったことによる。審査会場に並べられた応募作品にその差が歴然として見て取れた。しかし審査会はそれなりに大所高所から見て厳正なる審査を行い受賞作品を厳選した。次に受賞作の寸評を記す。

■一般枠
 一般枠の今年の大賞には「悠久の海」山城美枝さんの作品。全体を淡いブルーで統一し、古典紅型の流水文様を現代感覚でアレンジした巧みな構成は見事である。中央には色彩豊かなジンベエザメが優優と泳ぎ、画面全体にはサンゴやクマノミ、亀、タツノオトシゴ、マンタ、イルカ等々をリズミカルに配し、彩色も美しくスッキリした作品に仕上げている。
 技術賞「開ける心」は津山奏さんの作品。作品全体の構成とモチーフの配置が実に巧みである。細部にまで高い技術が発揮され、シンメトリックな画面構成とそれに白い部分が実に効果的である。作者の沖縄に抱く心象風景がうまく表現された作品である。
 デザイン賞「ヒヤミカチ」は吉濱愛さんの作品。作者はこの作品にいかなる困難にも挫けず伝統文化を継承する沖縄人(うちなーんちゅ)のたくましさを表現したとする。世界に冠たる琉球王朝文化の独自性、豊かさが永久に継承されることを願い、作品全体に龍の体をうねらせ、龍頭と尻尾で沖縄のシンボル首里城正殿を守っている。更に古典紅型の流水文様をダイナミックにうねらせ、組踊の役者や小道具それにデイゴの花など画面全体を華やかに彩るデザイン力が高く評価された。
 奨励賞の1点目は「楽園~沖縄の宝~」は島尻稚菜さんの作品。作者は第26回にも奨励賞を受賞した実力者である。今回の作品は沖縄の自然美やその魅力を空や海、チョウや魚など色鮮やかに流動的な表現は巧みである。構成力、色彩感覚、技術力いずれも秀逸である。
 奨励賞2点目は「記憶の海がゆれる」竹内まみさんの作品。作者は第26回にもデザイン賞を受賞した実力者である。高い技術の持ち主で沖縄の海の美しい青にダブルイメージでヒスイカズラを詩情豊かに表現している。色調は以前の受賞作にやや類似するが、構成力や表現技法は更に繊細さを増して出来栄えの良い作品である。

■未来枠
 未来枠の受賞者は3人である。優秀賞には「Blue  twins」具志堅音子さんの作品。沖縄の青い空・海の美しい世界を表現したいとの制作意図で、そのイメージを画面に民家や魚、サンゴなどたくさんのモチーフを盛り込み、リズミカルに表現している。画面全体に美しい色彩を散りばめ、高校生の自由な発想と豊かな感性が溢れた作品である。
 優良賞「台風前夜」は下地理央さんの作品。実に強烈な色彩に華やかさはこれぞ紅型の本領発揮といった作品である。県花デイゴの花をモチーフに赤や緑、黄色の配色、特に白色が効果的で画面にインパクトを与えている。若いエネルギーが作品全体に漲った作品である。
 審査員特別賞「ブーゲンビリアの空」は亀谷二虹さんの作品。画面中央に大きなクジラを印象的に描き、その後方に幸せを運ぶコウノトリが小さく描かれている。周辺をブーゲンビリアの花で飾り、月桃の花や虹、サガリバナなどアクセント効果もある。若い作者の優しさと爽やかさが満ち溢れた作品である。

 講評のおわりに追記しておきたいことがある。現在、本コンテストの応募作品には圧倒的に沖縄の海をテーマにした作品が多い。またそれを一般人にも違和感なく受け入れられているのも事実である。そこで昔の古典紅型を振り返って感じたことは意外に海や魚類の図柄は見当たらない。つまり古典柄は牡丹、鳳凰、瑞雲、流水、松竹梅等々である。

 私の記憶によると、戦後紅型復興に功績のあった城間栄喜氏が初めて魚をモチーフに紅型を染めたのが最初かと思う。その場合でも海中を泳ぐ魚ではなく、魚そのものの図柄である。そこで思い浮かぶのは本部町の海洋博記念公園の「沖縄美ら海水族館」などの影響が多少あるのではなかろうか。現代紅型の海をテーマにしたデザインは定評があり、伝統工芸にも変革があることが理解されよう。

【2020年8月8日付 琉球新報掲載】

デザイン意図(一般枠)

大賞「 悠久の海」

美しい悠久の海で新しい命がつながれていきますように。これからも美しい青が色あせることのない島であり続きますようにという願いで表現しました。

技術賞「開ける心」

青く広い海を泳ぐ魚、草花や文化にはどれも太陽に映える色鮮やかさで、沖縄で生活できたことで心から明るく華やかにしてもらえたと感じています。この心の中にある色と華やかな世界を濃縮して身体に吸収し放出していく感覚を表現したいという願いを今回叶えさせていただきました。

デザイン賞「ヒヤミカチ」

数々の困難や危機に見舞われながらも、前向きに何度も立て直し進化し、先人の芸と心を300年間受け継いできた組踊のように予測困難な現代社会の変化におかれても、希望を持ち、ヒヤミカチ、奮い立たせ、歴史の中で培ってきた独自の文化を次の世代へ守り伝えていきたいと願いを込めて制作しました。

奨励賞「楽園~沖縄の宝~」 

熱帯魚、サンゴ、花、オオゴマダラとサナギ、きれいな海、さわやかな空。これからの未来に残していきたい、大切にしたい自然や風景を沖縄らしい鮮やかな色合いで表現した。

奨励賞「記憶の海がゆれる」

自身が過ごしてきた沖縄での思い出がふとした瞬間に思い出される様子と、沖縄の海のような色をしたヒスイカズラが揺れる様を組み合わせてデザインし、制作しました。

デザイン意図(未来枠)

優秀賞「Blue twins」

沖縄ならではの地上の自然豊かな緑と、すみわたる青空の世界と、海中の色とりどりのきれいな生物と、空のような青い海の世界。沖縄にある2つの青の世界をモチーフにした。

優良賞「台風前夜」

私の大好きな沖縄の県花デイゴをメインにしました。小さなデイゴを重ねて、大きなデイゴが堂々と下にたれさがっているのを表現しました。

審査員特別賞「ブーゲンビリアの空」

いとこが生まれたので、そのことからコウノトリが赤ちゃんを運んでいるイメージでデザインしました。
大きくて優しいイメージのクジラで優しく包み込んでくれるお母さんを表現しました。私の喜びが伝わればいいなと思います。

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