りゅうぎん紅型デザインコンテスト
沖縄県の伝統工芸の一つである紅型の振興と若手工芸家の育成ならびに紅型デザインの新しい領域を追求していくことを目的に、「りゅうぎん紅型デザインコンテスト」を毎年開催しています。応募作品は展示会で発表するとともに、入賞作品については当行のカレンダーや通帳、広報物などに広く活用しています。
※りゅうぎん紅型デザイン公募展は、第17回(平成20年)より、りゅうぎん紅型デザインコンテストに名称を変更しています。
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一般枠
大賞 | 技術賞 |
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「間「ま」」 迎里 勝 |
「咲顔(えがお)」 座波 千明 |
デザイン賞 | 奨励賞 |
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「ルグヮイヌヤマ(アロエの森)」 神野 俊一 |
「ちゅーぬかいしゃ(今日ぬ美しゃ)」 国吉 春香 |
奨励賞 | |
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「雨宿り」 三浦 敦子 |
審査講評(一般枠)
- 大賞「間「ま」」
作品名が「間」としてあるのは、海底の海草の間から顔をのぞかせて立っているタツノオトシゴ、力強く泳ぐ海亀、グルクンの群れ、胸びれを広げた飛魚、黄赤色の大きいアダンの実などが海底の生物の空間を如実に捉えている。その上、陸地の植物などと海底の生物と合体させた小宇宙の空間がバランスよく、ダイナミックな表現で成功している(作者は過去にデザイン賞を二回受けている実力者だ)。
審査講評 星 雅彦
(詩人・美術評論家)
【平成27年8月28日付 琉球新報掲載】
- 技術賞「咲顔(えがお)」
花の笑顔をモチーフにしている。「咲」の字はワラフとも読むことから「笑顔」を「咲顔」としたようだ。そこには作者ならではの魅力的な凝り性の一端が窺(うかが)える。作品は夏の風物詩の朝顔の花を中心に、春のスミレ、秋のリンドウ、冬から春の椿(つばき)などの花々を絢爛(けんらん)として密集させたシンメトリーな図案である。花を人の笑顔に見立てて、明るい人生を念願している(作者は過去に第16回デザイン賞を受賞)。
審査講評 星 雅彦
(詩人・美術評論家)
【平成27年8月28日付 琉球新報掲載】
- デザイン賞「ルグヮイヌヤマ(アロエの森)」
モノレール牧志駅の下の方にアロエの群生が渦巻き状に繁茂しているという。そのアロエの筒状の赤い花には、小鳥(メジロ)や蜂が寄ってくる。また葉の上にはヤモリやカマキリが虫を捕らえようと構えている。画面上の方には蜂の巣、下の方には蜘蛛(くも)の巣。そしてアロエの多肉質の葉が渦状に伸びていて、作者は生物たちの営む空間を見事に活写している。
審査講評 星 雅彦
(詩人・美術評論家)
【平成27年8月28日付 琉球新報掲載】
- 奨励賞「ちゅーぬかいしゃ(今日ぬ美しゃ)」
画面には民家や糸車や植物類が書き込まれ、入り組んだ感じの農村風景である。青空にはツバメが飛んでいて、山を背景に赤瓦の民家では、機を織る婦人、下の方には川にそってブーゲンビリアの花々、全体を覆うているのが「オクラレルカ」(別名・アイリス)の花、その大きい葉っぱには絣模様が施されている。芭蕉布の里・喜如嘉をイメージした牧歌的な風景であり、そこにはトロピカルな透明感が滲(にじ)み出ている。
審査講評 星 雅彦
(詩人・美術評論家)
【平成27年8月28日付 琉球新報掲載】
- 奨励賞「雨宿り」
世界でも珍しい野鳥のヤンバルクイナの、人里離れた森の中での雨宿りする情景。クイナの親子を囲む自然の中の亜熱帯の代表的な植物群が描かれている。伸びやかなオオタニワタリ、ツワブキの花、クワズイモ、ヒカゲヘゴ、サクラランなどに囲まれたヤンバルクイナが悠長な空間で生息している様子が程よく描かれている。
審査講評 星 雅彦
(詩人・美術評論家)
【平成27年8月28日付 琉球新報掲載】
審査講評(未来枠)
- 優秀賞「群」
十羽ほどの鶏が寄り添うようにタブローに詰め込まれ、赤・青・白などの濃い色彩のデザイン。おそらく時を告げる雄鶏(おんどり)の観賞用品種と採卵用の雌鶏(めんどり)などを取り混ぜての群鶏であろう。描かれた画面は、造形的に迫力があり、躍動感が漲(みなぎ)っている。
審査講評 星 雅彦
(詩人・美術評論家)
【平成27年8月28日付 琉球新報掲載】
- 優良賞「海のパレード」
画面の中心に、胴体が青と赤の大きなイルカのカップルが深海を遊泳している。周りの魚介類や海草類が波浪に揺らめく流れの様子をパレードと名付けたのであろう。行進のイメージには見えないにしても、深海の生き物たちの生気にあふれる営為を如実に感じさせている。
審査講評 星 雅彦
(詩人・美術評論家)
【平成27年8月28日付 琉球新報掲載】
- 審査員特別賞「干潟の生き物達」
水彩画のような明るい色感だが、中央に拡大したシオマネキの鎮座した姿には不思議なインパクトがある。片方のはさみ脚は、赤く異常に大きい。そのはさみ脚を振り上げ、手招くように下ろす動作が名前の由来だが、実際はメスに対する求愛行動だ。このマングローブの干潟には、顔を覗(のぞ)かせているトントンミー、その様子も含めて、全体からユーモラスな自然界を醸し出している。
審査講評 星 雅彦
(詩人・美術評論家)
【平成27年8月28日付 琉球新報掲載】