りゅうぎん紅型デザインコンテスト
沖縄県の伝統工芸の一つである紅型の振興と若手工芸家の育成ならびに紅型デザインの新しい領域を追求していくことを目的に、「りゅうぎん紅型デザインコンテスト」を毎年開催しています。応募作品は展示会で発表するとともに、入賞作品については当行のカレンダーや通帳、広報物などに広く活用しています。
※りゅうぎん紅型デザイン公募展は、第17回(平成20年)より、りゅうぎん紅型デザインコンテストに名称を変更しています。
※画像をクリックすると拡大表示します。
一般枠
大賞 | 技術賞 |
---|---|
「母ガメの想い」 天願 千恵 |
「五月雨(さみだれ)の傘」 新城 成則 |
デザイン賞 | 奨励賞 |
---|---|
「夏休みの日記」 島袋 悦子 |
「煌めく大航海」 渡名喜 裕生 |
奨励賞 | |
---|---|
「うるま(さんごの島)」 徳田 佐和子 |
審査講評(一般枠)
- 大賞「母ガメの想い」
本能的母性愛を巨大な亀に委託して、その強靭(きょうじん)な生命力と優しさを表現している。亀は両性具有であり、その頭部は男根、丸い堅牢(けんろう)な甲羅は女性を自然表出していて、聖獣とも言えようか。作品は深海の植物に囲まれて多彩であり、限りなく豊饒(ほうじょう)さに満ちているのだ。
審査講評 星 雅彦
(美術評論家)
- 技術賞「五月雨(さみだれ)の傘」
五月雨のよく降る雨の日は、森の中へ感知しながら散策し、多数の色とりどりの雨傘を連想させる。作品には蝶(ちょう)や鶴、牡丹(ぼたん)の花、柘榴(ざくろ)の実などがこの季節を謳歌(おうか)する風景を描いたことになる。南島では、梅雨の季節を「スーマンボース」と呼んでいるが、雨を歓迎する風情がよく出ている。
審査講評 星 雅彦
(美術評論家)
- デザイン賞「夏休みの日記」
夏の夜に景気よく花火の爆発音が「どうんどうん」と轟(とどろ)くとき、夜空の光の造形を人々は楽しむ。天地の風景の中に、消えればはかないが、夜空に打ち上げられる花火は老少不定を物語る。つまり天地の風景の中にあって、活発な花火は消滅する美しさである。
審査講評 星 雅彦
(美術評論家)
- 奨励賞「煌めく大航海」
いきなり琉球王国時代へ誘発された。画面左上の黄土色の大地には、鳳凰(ほうおう)やブーゲンビリアなど平和を象徴した情景が華やかに描かれ、手前には進貢船が出航して希望に満ちて進行している。惜しむらくは進貢船の色彩と姿態が今少し不十分な気がしたがどうだろう。
審査講評 星 雅彦
(美術評論家)
- 奨励賞「うるま(さんごの島)」
海底が夜空のように黒の上に、珊瑚(さんご)の神秘的な産卵の様子が描かれている。海底の魚介類や亀などが折り重なる風に立体的に描かれ、光線のような数本の白線が水中に射(さ)し込む様子は少し危ういが生きている。また地色を黒にしたのも効果的だ。
審査講評 星 雅彦
(美術評論家)
審査講評(未来枠)
- 優秀賞「雨竜」
見ると大きく渦巻きがあり、そこから赤い竜が天へ激しく立ち上る風情だ。作者は題名を「雨竜」(ウリュウ)と称したが、雨竜(アマリョウ)と同一だと思う。角はなく、尾は細く、青黄色をなす想像上の動物(広辞苑)だという。五穀豊穣の願をかける霊媒としても不足はない。丸い花びらのようなちりばめられた雨滴にしても効果的である。雨竜の力量を感じさせた。
審査講評 星 雅彦
(美術評論家・詩人)
- 優良賞「美々華円」
巨大な風船の中に幼いころの思い出がある。折り鶴やいろいろな玩具(がんぐ)と一緒に、あと二つの紙風船が丁寧に描かれ、その麗しさが人目をひく。その描写力の中に美々しい幻想性がある。華円という新造語も活(い)かされていると言うべきか。
審査講評 星 雅彦
(美術評論家・詩人)
- 審査員特別賞「華麗な舞」
優美なおとなしい空間に、大綱引に登場する数種類の旗頭を暗示した左紋の円型が描かれている。旗頭を鳥瞰(ちょうかん)図にして各地の紋が円形に描かれ太鼓の音に合わせて、重さ約50キロもある旗頭が踊るように面白く揺れ動く。黄土色の地面の上に、祭りの小道具が優美にちりばめられ、柔和な美しい空間を形成している。さりげなく品格を示唆している。
審査講評 星 雅彦
(美術評論家・詩人)