りゅうぎん紅型デザイン公募展
沖縄県の伝統工芸の一つである紅型の振興と若手工芸家の育成ならびに紅型デザインの新しい領域を追求していくことを目的に、「りゅうぎん紅型デザインコンテスト」を毎年開催しています。応募作品は展示会で発表するとともに、入賞作品については当行のカレンダーや通帳、広報物などに広く活用しています。
※りゅうぎん紅型デザイン公募展は、第17回(平成20年)より、りゅうぎん紅型デザインコンテストに名称を変更しています。
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大賞 | 技術賞 |
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「マヨイガ」 山本 ふじの |
「蝶の舞う庭」 真栄城 之枝 |
デザイン賞 | 奨励賞 |
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「カジマヤー(時の流れ)」 呉屋 末美 |
「とぅーるー(灯籠)」 髙嶺 明子 |
奨励賞 | |
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「くじら日和」 石田 麗 |
審査講評
- 大賞 「マヨイガ」
マヨイガとは迷う家のことであるらしく、東北地方の伝説の中に、迷いながら辿り着いた桃源境の話があり、理想の境地を意味するという。作者は沖縄のニライ・カナイの思想にやどる共存の世界と重ね合わせて、一種のユートピアを想定したようである。そうした夢想的な発想のもとに、図案作成に熱中し、民家をとりまくブーゲンビリアや月挑や、微風になびく表現に成功している。その豊かな配色や緻密な描写の技術などは、テーマと調和がとれ全体的に冴えわたっている。
審査講評 星 雅彦
(美術評論家・詩人)
- 技術賞「蝶の舞う庭」
庭の草木や花々に、蝶や小鳥が寄ってくる様子を、紺の下地に雪印の円型図案を十数個ちりばめるように白く浮き立たせた、スケッチ風なデザインである。雪の結晶のようなパンジーやチューリップの花々が、日常的な幸福感を表出している。技術賞にふさわしい佳作といえよう。
審査講評 星 雅彦
(美術評論家・詩人)
- デザイン賞「カジマヤー(時の流れ)」
水色の地に、白と赤による数個の玩具の風車がくるくる回っているように配置され、その間隙にデイゴ・ブーゲンビリア・くちなし・ゆうな等が描かれ、時の流れを意識した華麗な作品である。主題のカジマヤーは、97歳の生年祝いにかけたカジマヤーぎ(くちなし)の花で、また風車などを採用し、時の流れを表現するための技術的な工夫など、作者の熱意のほどが感じられる。去年の「ゴーヤーの実る頃」では、斬新な表現で大賞をかち得たが、今回も遜色がない出来ばえである。
審査講評 星 雅彦
(美術評論家・詩人)
- 奨励賞「とぅーるー(灯籠)」
全体を黄土色に塗りつぶし、線描きで綱引きの綱を交差させ、地域の存在を主張するようにぽつんぽつんと祭の旗頭が小さくシンボライズに描かれてある。その描き方は、控え目で地味だが、ユニークな表現が特色ありと認められた。
審査講評 星 雅彦
(美術評論家・詩人)
- 奨励賞「くじら日和」
慶良間諸島の海で、くじらウォッチングに出かけたようである。春の海に躍動するザトウクジラの空中に飛び上がる様子はダイナミックだ。その感動を再現したように、大胆な構図に仕上げ、鯨の胸ひらや、飛沫のような花模様などにテーマ性を反映させて、躍動感にみちあふれている。
審査講評 星 雅彦
(美術評論家・詩人)