第32回(2023年度)

紅型デザインコンテスト

りゅうぎん紅型デザインコンテスト

沖縄県の伝統工芸の一つである紅型の振興と若手工芸家の育成ならびに紅型デザインの新しい領域を追求していくことを目的に、「りゅうぎん紅型デザインコンテスト」を毎年開催しています。応募作品は展示会で発表するとともに、入賞作品については当行のカレンダーや通帳、広報物などに広く活用しています。

※りゅうぎん紅型デザイン公募展は、第17回(平成20年)より、りゅうぎん紅型デザインコンテストに名称を変更しています。

※画像をクリックすると拡大表示します。

一般枠

大賞

大賞
(ちゅ)ら海へ探検 新たな発見を求めて!
赤嶺 耕平

技術賞

技術賞
「船出」
平良 紗矢野(さやの)

デザイン賞

デザイン賞
「雲龍」
島尻 稚菜(わかな)

奨励賞

奨励賞
「青に舞う」
山城 美枝

奨励賞
奨励賞
「アマミキヨヌ邦」
佐喜眞 沙更(さら)

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美ら海へ探検 新たな発見を求めて!
【1024×768】【1280×800】
船出
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雲龍
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青に舞う
【1024×768】【1280×800】
アマミキヨヌ邦
【1024×768】【1280×800】
 

未来枠

優秀賞

優秀賞

「守る」
西濱 萌

優良賞

優良賞

「親子でさんぽ」
船道 愛音(あいね)

審査員特別賞

審査員特別賞

「treasure(たからもの)
塩濱 心菜(ここな)

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守る
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親子でさんぽ
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treasure(たからもの)
【1024×768】
【1280×800】

審査総評

■一般枠 新たな希望感じる作品 渡名喜はるみ氏(夏至工房代表) 

 今回の受賞作品の最終審査は、これまでになく難航した。筆者自身は1次・2次の投票の段階からかなり迷い、半数に絞り込むのに時間がかかった。安定した仕上がりは工芸には不可欠であるが、新鮮な驚きのある表現も評価したいと思う迷いである。
 判断基準は、カレンダーとして新年に広げた時に新たな希望を感じさせる作品か。ポスターとして貼られる一年間、偶然目にした人にも感覚を共有してもらえるか。その基本に立ち返り最終の5点から4名の審査員の総意で大賞が決まった。拮抗(きっこう)した審査での奨励賞2点も十分にその要素を感じた作品である。

 大賞「美ら海へ探検 新たな発見を求めて!」赤嶺 耕平 美ら海へ探検、野の花も伴って。取り込まれた熱帯魚や花々自体は、見慣れたモチーフだが、ベースの白と青色の濃淡の仕切りに施された「円」の連なりがリズムを持たせた。クジラのブリーチングもイメージさせ大海への躍動感が出た。型彫での構成後に、仕上げで部分挿を施すことで画面を引き締めている。作者の紅型に対する探究心が伝わり、今後の「新たな発見」に期待が高まる。
 技術賞「船出」平良 紗矢野 4年ぶりに開催された那覇ハーリーの熱気を、たくさんのモチーフを乗せた龍のうねりに託した作品。上空に舞う七色も、ディテールの彫り、染め分けも美しい。メインの龍の形や色を溶け込ませたのは作者の意図であろうが、伝えたい「熱気」をもっと熱くと、要求したく技術賞となった。
 デザイン賞「雲龍」島尻 稚菜 古典柄の龍と牡丹の構成だが、生き生きした龍の表情やデフォルメされた牡丹の彩色が美しく見入ってしまう。背景の瑞雲は台風時の空の色をイメージしたというが、地色と同色の方が型彫の確かで画面構成は生きたと思う。来年の干支を意識したわけではないようだが、今後のオリジナルなテーマの広がりを期待する。
 奨励賞「青に舞う」山城 美枝 仕上がりが美しい。染地彫一枚の画面構成である。必ずしも饒舌(じょうぜつ)なモチーフや技法を取り込まなくても可能性は広がるという良い例。他の応募作品と比べ、そのシンプルな方法で表現できるのは、日々の研さんとこれまで(こな)してきた仕事量を感じさせる。亀の親子の表情も魅力的だが、幸せを運ぶイメージとしての花笠が少し重くなって残念に思う。
 奨励賞「アマミキヨヌ邦」佐喜眞 沙更 たくさんのモチーフでの構成は、今回の他の応募作品にもあった。評価した点は周りの植物から求心的に、光を放って見える雲丹(うに)の化石に向けて目がいく構成。水面の色を複雑に重ねることで同化させた亀やマンタ、チョウと共に浮上していき作者の思うアマミキヨの邦に誘われる。裾を彩るサンゴが細かすぎた感はあるが作者の「アマミキヨヌ邦」への憧れの表れだろう。

【2023年8月25日付 琉球新報掲載】

■未来枠 しっかりと作品づくり 宮城守男氏(琉球びんがた事業協同組合理事長) 

 優秀賞「守る」西濱 萌 竜宮城を思わせるような独創的な作品。首里城の上下に繰り返された熱帯魚とジンベエザメ、特に尾で挑戦したヌージグマ(虹隈)の表現が画面に奥行と海流を生み、また流水も心地よい浮遊感の演出に一役買っている。ジンベエザメを彩る瑞雲が、まるで魚群に紛れているように錯覚できるのも面白い。「首里城を守る=美ら海で包み込む」という独自の感性を形にしたのびやかな作品で、今後の創作も期待している。
 優良賞「親子でさんぽ」船道 愛音 凝った作品が多い中、山原の日常を垣間見たような大胆で素直なデザイン構成と、生き生き、ほのぼのしたヤンバルクイナ親子の表情が審査員の目を引き付けた。型彫・色差しを始め、全体的に仕事が丁寧に施されていることも好印象で、自ずと目を引く一因になった。落ち着いた配色で、2色に染め分けた地色とともにうまくまとめており、安定感が感じられる。
 審査員特別賞「treasure(たからもの)」塩濱 心菜 今回から採用されたA2というやや小ぶりな画面の中に、沖縄の動植物・マーイ(手まり)や花織など、盛り沢山の素材を詰め込んだ、創作に対する熱が伝わってくる作品。適所に施したヌージグマにより、画面にメリハリも生まれた。水質汚染を表したのか、流水を青と赤紫で染め分けているのが斬新で面白く、この作品が楽しいだけでなく、大事なメッセージが込められたものだと気づかされた。

 未来枠は、全体として技術的に未熟な部分はあるが、皆、手間をかけてビンウシー(糊伏せ)、地染め・ぼかしまでしっかりと作品づくりをしているのが好印象で、今後の成長が楽しみだ。デザインする際、既存の意匠を取り入れ構成するのも一つの方法だが、未来枠ではぜひ、自身の感性をはじけさせた表現に挑戦してほしい。このコンテストが紅型表現の幅を広げる一つの機会となることを願う。

【2023年8月25日付 琉球新報掲載】

デザイン意図(一般枠)

大賞「 美ら海へ探検 新たな発見を求めて!」

沖縄の海は美しさと神秘的なものが多く、皆さんをワクワクさせてくれます。紅型も同じように古くからの伝統技法を用いて作り、まだ知らないことがたくさんあったり、様々なデザインや色で皆さんを楽しくさせてくれます。私の探究心を大きな海でデザインしました。まだ見たことのない、新たなデザインを求めて…。

技術賞「船出」

五月晴れの中、爬竜船たちが力強く櫂(エーク)を漕ぎ、みんながエールを送る姿。4年振りに開催された那覇ハーリーは熱気に溢れていた。まるで1つの大きな波のように新たな未来へと漕ぎだしているようだった。

デザイン賞「雲龍」

「琉球」をテーマに制作しました。うちくい(風呂敷)で染められていることの多い牡丹や首里城の柱のデザイン等で使用されている龍を組み合わせ、背景の雲は台風時の雲の色合いを表現し、鮮やかにしました。

奨励賞「青に舞う」 

カメの親子が舞うその姿は、幸せに満ち溢れています。鮮やかな風景、景色がずっと続きますように。

奨励賞「アマミキヨヌ邦」

琉球神話をコンセプトに作りました。
ニライカナイから天降った女神アマミキヨが島を創り、一組の男女を住ませた。二人の間に三男二女が生まれた。長男は龍神としてこの邦を治め、下の兄弟姉妹は鳥となって王を支えた。
太陽はアマミキヨ。暖かな光でこの邦を見守り続ける。

デザイン意図(未来枠)

優秀賞「守る」

現在、新型コロナウイルスが緩和され、観光客が戻り、着々と首里城の復元工事が進んでいます。沖縄全体で首里城を守り、よりよい沖縄になるようにと思いを込めました。

優良賞「親子でさんぽ」

ヤンバルクイナの親子が楽しく散歩する様子をデザインしました。

審査員特別賞「treasure(たからもの)」

沖縄に住んでいる動物たちをもとに作品を仕上げました。環境汚染で減りゆく動物たちと沖縄の豊かな自然を守りたいという思いを込めました。

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