りゅうぎん紅型デザインコンテスト
沖縄県の伝統工芸の一つである紅型の振興と若手工芸家の育成ならびに紅型デザインの新しい領域を追求していくことを目的に、「りゅうぎん紅型デザインコンテスト」を毎年開催しています。応募作品は展示会で発表するとともに、入賞作品については当行のカレンダーや通帳、広報物などに広く活用しています。
※りゅうぎん紅型デザイン公募展は、第17回(平成20年)より、りゅうぎん紅型デザインコンテストに名称を変更しています。
※画像をクリックすると拡大表示します。
一般枠
大賞 | 技術賞 |
---|---|
「かくれんぼ」 有山 誠 |
「月夜の貝」 有馬 憂莉 |
デザイン賞 | 奨励賞 |
---|---|
「空を泳ぐ」 座波 千明 |
「山原の森からの旅立ち」 神野 俊一 |
奨励賞 | |
---|---|
「チチヌユー(月夜)」 平良 紗矢野 |
審査講評(一般枠)
- 大賞「かくれんぼ」
海の中の遊び心を表現しており、透かし織りのように、半ば隠して半ばのぞかせるデザインとして見事に仕立て上げている。大小の魚たちを色彩や形態で変化させて、光線を遮るようなサンゴの格子状の十数本の黒い縦帯の間隔を、すり抜けて遊泳させている。サンゴやブーゲンビレアや二枚貝などの他にシードラゴンが顔面だけのぞかせている。ダイビング経験者の視点から見た図案構成が優れている。
審査講評 星 雅彦
(詩人・美術評論家)
【平成28年8月5日付 琉球新報掲載】
- 技術賞「月夜の貝」
ツボガイや二枚貝が真っ青な帯状の中にサンゴ礁の支えを受けて縦に配列されている。中央には上下に黒い帯が走っており、月夜の光景を連想させる。まるで、家族連れでの潮干狩りのレクリエーションをもほうふつさせる。色彩が華麗である。
審査講評 星 雅彦
(詩人・美術評論家)
【平成28年8月5日付 琉球新報掲載】
- デザイン賞「空を泳ぐ」
自由に遊泳するイルカともクジラともつかぬ不思議な海中の覇者たちが、勢い空中に躍り出て空を泳ぎ回る発想が奇抜である。上空までアダンの実や花が宝石のごとくちりばめられている。光と共に自由を楽しむダイナミックな空間を創っている。
審査講評 星 雅彦
(詩人・美術評論家)
【平成28年8月5日付 琉球新報掲載】
- 奨励賞「山原の森からの旅立ち」
マングローブの水辺に映ったアサギマダラの群れが、はるか遠くへ一列に飛び去っていく幻想的な旅立ちの光景。その周囲には、リュウキュウヤマガメやオキナワキノボリトカゲ、イシカワガエルなどが首を伸ばして見守っている。多様な生き物たちの姿が叙情的だ。
審査講評 星 雅彦
(詩人・美術評論家)
【平成28年8月5日付 琉球新報掲載】
- 奨励賞「チチヌユー(月夜)」
多彩に描かれたサンゴとウミガメの産卵を同時に捉えており、ダイナミックでにぎやかだ。上部に描かれた海辺にはモンパノキが生い茂って黄色い実を付け、海の幸せを喜んでいるようだ。命の誕生を喜び祝っているその光景を全体のコバルトブルーによって浮き立たせている。
審査講評 星 雅彦
(詩人・美術評論家)
【平成28年8月5日付 琉球新報掲載】
審査講評(未来枠)
- 優秀賞「ちゃーがんじゅー」
中央に大きなトントンミー(ミナミトビハゼ)が口を開けて目を凝らした姿。マングローブの茂る湿地帯や干潟で上手に飛び跳ねるその様子は、ユーモラスで生きる力に満ちあふれている。紅色のハマアサガオの大輪が応援しているようだ。そして「ちゃーがんじゅー(いつも元気旺盛ですよ)」とつぶやいている。天真らんまんさが作品の良さを引き立てている。
審査講評 星 雅彦
(詩人・美術評論家)
【平成28年8月5日付 琉球新報掲載】
- 優良賞「海中の華」
中央には象徴的に大きくミノカサゴを描いている。背びれと胸びれが実際より長く伸び、泳ぐ姿が優美だ。鮮やかに美しく表現されているが、その先のとげには毒腺があって要注意。バラのとげよりも厳しく、教訓的だ。
審査講評 星 雅彦
(詩人・美術評論家)
【平成28年8月5日付 琉球新報掲載】
- 審査員特別賞「古の舞い(いにしえのまい)」
琉球芸能の古典舞踊と民族舞踊とを上下の波線で表現した舞台上で分けて、舞姫たちが描かれている。作品下部には雨傘やアカバナーを添えて、上部には形を揺らした守礼門が描かれている。琉舞の人たちの衣装にもう少し濃淡を付けても良かったかとも思うが、歴史的で伝統的な配色に着目したところに好感が持たれた。
審査講評 星 雅彦
(詩人・美術評論家)
【平成28年8月5日付 琉球新報掲載】
- 審査員特別賞「今と未来」
画面いっぱいに図形がひしめき、しかも色彩が濃厚でカラフルな装いである。どこが今で、どこが未来なのか答えはなく、見る人の想像力をかき立てる。作者によれば尖った三角形は船であり、荒波にのまれている今の沖縄を表現。浮き出たクジラたちが幸運や希望を象徴しているという。未来志向の決意が見る者にも響いてくる。悠久で迫力がある作品だ。
審査講評 星 雅彦
(詩人・美術評論家)
【平成28年8月5日付 琉球新報掲載】